首・上肢の疾患

1.肩こりがひどい

 肩こりはほとんどが筋肉の痛みによるものです。次のような条件が重なるとおこります。

 ①同じ姿勢を続ける 
 ②目を使う 
 ③神経を使う
 ④歯の噛み合わせが悪い 
 ⑤首の骨の並びが悪い
 ⑥首の神経の通路が狭い 
 ⑦冷え性 

 症状が強くなると、頭痛や吐き気を伴います。治療としては

1)適切な薬
 (消炎鎮痛剤・筋弛緩剤
  漢方薬(血流改善)など)
2)ストレッチやリラクセーション

これでなかなか治らない場合は、ブロック注射が効果的です。緊張の高い筋肉に直接注射するトリガーポイントブロックと、交感神経の働きを押さえて血流改善・疼痛反射軽減などの効果がある星状神経節ブロックを症状に応じて使い分けます。

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2.五十肩で腕が挙がらない

 肩が痛いからと言って動かさないと、肩関節のまわりが癒着して腕が挙がらなくなります。ですから、肩の痛みがあればなるべく早く治療を開始することが大切です。治療法としては

1)肩関節への注射
2)肩関節の適切な運動
 (無理をすると逆効果)
3)内服薬とシップ

 でも、肩が動かなくなってからでは、これらの治療はあまり効果がありません。その場合は

4)非観血的関節受動術
 を行います。これは麻酔をかけて肩関節周囲の癒着をはがす治療です。

「五十肩は放っておいても治る」というのは迷信です。

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3.手がしびれる

 手のしびれは、神経の障害をうけている部位によってしびれの範囲が異なります。

1)頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症性神経根症
  ⇒上腕~手のシビレ
2)肘部管症候群
  ⇒肘から手のシビレ
3)手根管症候群
  ⇒手首から先(小指以外)

 治療もそれぞれによって異なります。薬で良くならない場合は神経ブロック、また手術が必要な場合もあります。
 手根管症候群は良く見られる疾患で、当院では(漢方薬とビタミン剤)でかなりの効果を上げていますが、手術の必要な人には日帰りで手術(手根管開放術)を行っています。

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4.背中が痛くて呼吸しにくい

 「背中が痛い」という場合に、すい臓がんや心筋梗塞が心配になります。でも、検査をして異常なしと言われた場合、次に考えられるのが背筋の痙攣による痛みです。これが起こると、胸郭の運動が妨げられて呼吸がしにくくなります。この痛みは薬やストレッチ、リハビリ等で改善しにくい部分ですが、ブロック注射を行うとかなり効果があります。ただ、ベテランが行わないと肺に針がささったりして気胸(肺の空気が漏れる)になることがあります。
 なお、肋間神経痛帯状疱疹(ヘルペス)でも痛みがでます。肋間神経痛が長引いたりだんだんひどくなる場合、胸椎の腫瘍といった場合もありますので、必ず整形外科専門医を受診してください。

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